結石ができる病気 
  身体の中に石ができる・・・!?この招かれざる異物結石は、ときに激しい痛みや重篤な症状を引き起こす原因になります。ここでは、比較的患者さんの多い胆石と尿路結石について、みていきましょう。
  胆石
 肝臓では、脂肪やたんぱく質の消化を助ける胆汁が、絶えず作られています。胆汁は肝臓の下にある胆のうにいったん蓄えられ、そこで濃縮されます。食べ物が胃から十二指腸へと移動してくると、胆のうは収縮を始め、蓄えてある胆汁を十二指腸へと送りだします。
 この胆汁の成分が、その通り道(=胆道→胆管、胆のう、胆のう管の総称)で何らかの原因により固まってしまったのが胆石です。
 近年、患者数は増加しており、成人の約8パーセントが胆石をもっているといわれています。原因としては、食生活が欧米化して脂肪の摂取量が増え、胆石の成分となるコレステロールも増大したことなどが考えられます。
  <結石の成分による種類>
  ▼コレステロール胆石・・・通常コレステロールは胆汁に溶け込んでいるが、その層が増えすぎると溶け切れずに結晶となり、徐々に固まりとなっていく。おもに黄白色の球形をしており、通常は1センチメートルほどだが、3〜4センチメートルの大きさのものもみられる。
  ▼ビリルビン胆石・・・胆汁色素のビリルビンが、カルシウムとともに固まったもので、茶または黒っぽい色をしている。胆汁の流れが悪かったり、胆道に細菌感染があるとできる胆石。
  <結石の場所による種類>
  ▼胆のう胆石・・・胆石のなかでも最も多く、胆のう内部にできる胆石。大部分はコレステロール結石である。
  ▼肝内胆石・・・肝臓内部の肝管にあるものをいう。胆石のなかでは少ない種類で、比較的ビリルビン胆石が多くなっている。
  ▼肝管胆石・・・胆のう管や総胆管にできた結石。多くは胆のう内にできた胆石が流れ落ちたもの。
  胆石がもたらす症状
 最も特徴的な症状が腹部の激痛です。おもにみぞおちから右上腹部にかけて、さしこむような激しい痛みが突然襲います。痛みは1〜2時間続いた後に消失することもあります。
 さらに、それに伴って悪寒がしたり震えがきたり、黄色い液を吐いたりすることがあります。また、胆のうや胆管に感染症を合併すると、40度近くの高熱がでます。胆石で胆管が塞がれると、胆汁が逆流して黄疸の症状も現われてきます。
  検査法・治療法
   超音波検査(エコー)と血液検査が一般的です。エコーは画面に胆のうを映しだし、胆石の有無や大きさを調べることができます。血液検査では、胆石によって胆道に炎症が起きていないか、黄疸はどうか、などがわかります。さらに詳しい検査法として、内視鏡やCTスキャンなどを行うこともあります。
 胆石が発見されても症状がなければ、経過を観察します。しかし、激痛、発熱、黄疸がみられた場合は腹腔鏡下胆のう摘出術が行われます。腹部に開けた小さな孔から腹腔鏡や手術器具を入れ、胆のうを切り離して体外に取りだす方法です。
 総胆管結石に対しては、口から内視鏡を入れて胆石を取りだす内視鏡的乳頭切開術や、内視鏡の先端で衝撃波やレーザーを発生させ胆石を砕く経口胆道鏡下砕石も施されます。
 また症状が鎮静化していれば、体外衝撃波結石破砕法(ESWL)を用いることもあります。ただし、再発するケースが多いのが問題点です。
  尿路結石
 尿は腎臓の腎実質というとことで作られ、腎杯、腎盂に一時的に留まります。その後、尿管を通って運ばれ、膀胱に溜まり、尿道を経て身体の外に排出されます。
 尿路結石とは、この一連の尿の通り道にできる結石のことをいいます。
 尿の中に含まれているカルシウム、シュウ酸、リン酸などの塩類は、水に溶けずに結晶として存在しています。尿が濃くなると、それら結晶が増長し互いに結合して結石になるものと考えられています。
 尿路結石も、その有病率は高まっており、20人に1人が一生に一度は罹患する計算になります。20〜50歳代に多く、男性は女性の2〜3倍も高いという特徴があります。
  結石の成分による種類
1.シュウ酸カルシウム結石・・・金平糖状のギザギザな形で排出されにくい。
2.リン酸カルシウム結石
3.1と2の混合型
4.リン酸マグネシウムアンモニウム結石・・・尿素をアンモニアに分解する細菌の感染に関係してできる結石。サンゴ状結石となりやすい。6.シスチン結石
 とくに多いのが1〜3のカルシウム結石で、全体の約70パーセントを占めます。
  結石の場所による種類
 尿路結石の多くは腎臓で作られ、尿とともに流れでて、さまざまな箇所で詰まります。その部位によって、下図のように名称が異なってきます。
  尿路結石がもたらす症状

 代表的なものは、わき腹から下腹部にかけての痛みですが、結石が腎臓内にある場合は、無症状か、あるいは鈍痛が起こる程度です。ところが結石が動いて、尿管の途中に引っかかると、尿管が痙攣して尿が流れなくなり、まさに七転八倒の痛みが襲います。痛みは鼠径部、外陰部にも広がり、吐き気や血尿を伴う場合もあります。
 しかし、結石が膀胱へと排出されると、痛みはうそのように消え、排尿痛、残尿感といった膀胱炎と同じような症状に変わります。こうして腎臓から膀胱まで降りてくるような大きさの石は、尿とともに体外に排出されることが多いため、尿道結石として留まるケースはまれです。
  検査法・治療法
   X線撮影やCT検査で、ほとんどの結石の位置や大きさを調べることができます。エコーは、それによって機能低下した腎臓の様子がわかります。さらに詳細な検査法として、静脈から造影剤を注射して腹部をX線撮影する排泄性尿路造影も行われます。
 5ミリ以下程度の小さな結石ならば、水分を大量に取ったり鎮痛剤や利尿剤を服用するなどして、尿と一緒に自然排出させる方法を試みます。
 しかし、尿路が炎症に起こっていたり、痛みがひどかったり、石が大きい場合には、手術療法が施されることもあります。
 体外衝撃波砕石術(ESWL)は、身体の外から結石に衝撃波を集中的に当てて細かく砕き、尿と一緒に排出させる方法です。経皮的腎尿管砕石術は、背中側から腎臓に小さな孔を開け、内視鏡で観察しながら、レーザーや超音波で結石を砕きます。同じような砕石法でも、経尿道的尿管砕石術は、内視鏡を尿道から挿入し、膀胱経由で尿管に送り込んで行なうものです。
 


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