抗酸化力ってなに?
  「抗酸化剤、抗酸化物」といって、ビタミン類やポリフェノール類が注目されてから久しくなります。これらがもつ『抗酸化力』とはどんなものなのでしょうか。
  活性酸素は常に作られる
 抗酸化力を知るには、まず『活性酸素』から知っておきましょう。
 私たちが生きていくためには酸素が不可欠ですが、身体に取り込んだ酸素の一部は、他の分子と結ぶついて高い酸化力を持つ『活性酸素』になります。活性酸素は、酸素分子が他の分子と結ぶついたり、電子だけを奪ったりしてできる化合物です。分子の構成によっておもに4種類あり、それぞれの特性をもっています。
 私たちの身体は、歳とともに老化しますが、これは、活性酸素によって、細胞が金属と同じように錆びていくことです。「錆びる」、つまり「酸化」が活性酸素の成すしわざなのです。
 活性酸素は、絶えず身体の中で作られています。これが蓄積されると、単に老化を早めるだけではなく、ガン細胞が増殖したり、動脈硬化を引き起こすなど、さまざまな疾病の原因になることがわかっています。しかし私たちの身体では、酸素を必要とする以上、この活性酸素の働きを阻止する物質も、しっかりと作られています。これが抗酸化物質(スカベンジャーともよばれる)というもので、その働きが「抗酸化力」なのです。
  抗酸化物質の働き
 身体のなかの抗酸化物質は、酵素を含めてたんぱく質、尿酸など多様です。また、よくご存知のビタミン類、ポリフェノール類など、食物に含まれる抗酸化物質も多くの種類があります。それぞれ、
・活性酸素の発生を抑えるもの
・活性酸素の酸化力を抑えるもの
・活性酸素で受けた被害を修復するもの
 といった役割をもっていて、活性酸素への働き方が違います。では、これらの抗酸化物質はなぜ活性酸素の害を防ぐのでしょう。
  活性酸素を無害化する
 活性酸素は、いずれも電子が不安定な状態の分子です。そのため、これに電子を与えて分子の構成を変えれば、活性酸素の酸化力がなくなります。抗酸化物質はそうした働きをしているのです。
 一例をあげてみましょう。
 抗酸化物質のひとつに、SOD(スーパーオキシドジムターゼ)という酵素があります。これは活性酸素のひとつ、スーパーオキシドを過酸化水素に変える働きをしています。ただし、過酸化水素も実は活性酸素ひとつです。そこで次は、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシターゼなどの抗酸化物質が活躍して、過酸化水素を無害な「水」に変えます。しかし、これらが過酸化水素の発生に追いつかなくなってしまうと、今度はビタミンB2がこれらの抗酸化物質を手助けします。
 このように、最終的に活性酸素を無害化するには複数の抗酸化物質がいくつもの段階で活躍しています。ですから、身体のなかで作られる抗酸化物質を補助するために、身体の外からも多種類の抗酸化物質を取り入れていくことが必要なのです。
  今話題の「マイナスイオン」も!
 活性酸素が細胞を酸化させるのは、分子がプラスイオンであるからです。電子(−)が足りない活性酸素は、他の分子と非常に結びつきやすい性質をもっていて、細胞膜の脂質などくっつきやすいものから結びついていきます。
 そこで、マイナスイオンがもつ電子(−)を与えることで、活性酸素を中和し、無害なものにすることができるのです。今話題の「マイナスイオン」は、こんなところで効果を発揮してくれるのです。
 
 
 
  活性酸素を増やさない
 抗酸化物質を取り入れることで、活性酸素を増やさないことは大切です。それと同時に、活性酸素を作りだす要素を減らすことも、考えなくてはなりません。私たちの日常生活のなかには、活性酸素を増やす要因があふれているからです。
  [タバコ]
 何につけても「百害あって一利無し」です。タバコは多量の活性酸素を発生させるだけでなく、抗酸化物質のひとつであるビタミンCを壊してしまいます。
  [紫外線]
 シミやしわの原因といわれるように、紫外線は皮膚に活性酸素を大量発生させます。骨粗鬆症の予防には、生活紫外線だけで充分ですから、無理な日焼けや長時間の日光浴は避けましょう。紫外線が多くなる季節の外出は、サンスクリーン剤などで紫外線カットを心がけましょう。
  [脂肪の摂りすぎ]
 脂肪は酸化しやすい食品です。ポテトチップなどのスナック類、インスタントラーメンなど揚げてある食品は、空気にさらしておくと過酸化脂質に変化します。過酸化脂質は酸化促進作用をもち、活性酸素と同じ害をもたらします。
 また、脂質自体が活性酸素と結びつきやすい性質ですから、脂肪の摂りすぎは酸化を促進することになってしまいます。
  [アルコール]
 アルコール分解の過程で活性酸素が発生します。抗酸化物質が豊富な食事といっしょに、適量を心がけましょう。
  [ストレス]
 ストレスによる神経の興奮が、活性酸素の発生を引き起こします。生活習慣病の要因にもあげられていますから、身体的な悪影響も深刻です。気軽な解消法を身につけ、ストレスと上手につき合いましょう。



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