自律神経失調症 
 最近身体がだるい、何となく調子がおかしい気がする・・・そんなことはありませんか?ストレスや体質、生活習慣など、さまざまな要因からなる自律神経失調症。症状がはっきりしないため、他人にそのつらさが理解されにくい病気でもあるのです・・・・。
  自律神経失調症とは?
 -発祥のメカニズムと3つの分類-
  自立神経失調症について、日本心身医学界では「検査をしても、その症状を裏づける所見が見いだされず、また器質的病変がないのに、さまざまな不定愁訴を訴える状態」と暫定的に定義づけています。つまり、いろいろな検査をしても原因となるような病気や異常が客観的には発見できないけれど、身体の異常感や不快感があるという状態なのです。
 「不定愁訴」とは自律神経系のさまざまな種類の自覚症状のことで、症状の現われ方が非常に不安定・不特定で、いろいろな要因に伴って生じるものです。

 自律神経は、主に内臓の活動を調節し、消化、呼吸、血液循環などを制御していて通常私たちの意志と関係なく働いています。その機能をコントロールしている中枢は間脳の視床下部にあります。自律神経は交感神経と副交感神経からなっていて、両者は同じ臓器を支配している場合が多いのですが、交感神経は激しい活動に適した状態を生みだし、副交感神経は疲労回復に適した状態を生みだすというそれぞれの働きがあります。そして、体質や精神的ストレスなど何らかの原因で視床下部が影響を受け、2つの自律神経をコントロールするバランスが崩れてしまうと、身体的不定愁訴を呈するようになるのです。
 自律神経失調症は、本態性型自律神経失調症、神経症型自律神経失調症、心身症型自律神経失調症そいう三つの型に分けられます。またその他に軽いうつ病に伴って似たような身体症状を呈するものもあります。

 
自律神経失調症の症状
自律神経失調症の症状は一般的に、全身倦怠感、めまい、頭痛、頭重、動機、便秘や下痢、ほてりなどです。微熱が続いたり、身体がふわついて足が地についていない感じがしたりする場合もあります。その他にも症状は人によってさまざまで、身体の各部分や全身に現れたり、また、身体の症状だけでなくイライラして集中力がなくなるなど、精神的な症状として現れることもあります。その人の体質や生活習慣、社会的な環境などによって大きく左右されると考えられます。
 自律神経失調症のなかには、別の病名のつけたれた病態も多くあります。症状が特定の器官に現れる場合で、過換気症候群、片頭痛、過敏性腸症候群、多汗症などがこれにあたります。これらの場合は、自律神経失調症という病名よりもむしろそれぞれの病名で取り扱われるのが一般的です。
 女性は更年期、分娩、月経など内分泌(ホルモン)の変動によって自律神経失調症になりやすく、更年期障害、月経前症候群といった名称でよばれる場合も多いようです。また、学齢期から思春期にかけてよくみられるもにとしては起立性調節障害があり、立ちくらみや脳貧血などの循環器症状が認められます。

 
治療法について
 薬物療法では、おもに抗不安薬や自律神経調整薬などを用います。大脳辺縁系に作用して不安や緊張をやわらげ、自律神経機能を調整する作用があります。これらの薬物は症状に応じて選択され、効果が高まるよう、他の治療法と併用されることもあります。また体質が関係している場合は、漢方薬による治療も有効な方法のひとつにあげられます。
 発症や経過に心理的な要因が関わっていると考えられる神経症型や心身症型では、心理療法(精神療法やカウンセリングとよばれることもあります)も有効です。これは主に、ストレスへ適切に対処できる方法を身につけたり、ライフスタイルを変えるなど、自分の心理的問題を自分で見つめて解決できるように支援する方法です。具体的な方法として自立訓練法、行動療法、交流分析などがあげられます。
 また自己観察、自己評価をしながら生活習慣を改善する生活指導もあります。
 どの治療法が有効かは自律神経失調症のタイプにもよりますが、要因が複雑にからみあっていると思われる場合、心身両面からのアプローチや環境の調整などさまざまな面から考えることが必要です。
 
 現代社会では誰でも一つや二つ、自律神経のバランスを乱してしまうようなストレス要因を抱えています。自分の身体が発しているサインを感じっ取って、時には休養を取ったり、気分転換をしたり、健康な生活習慣を心がけることが予防につながります。また、おかしいなと感じたら早めに受診することも大切です。
 


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