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医師会からのお知らせ

第27回健康と医療作文コンクール

佳作

「あなどってはいけない疲労」
塩谷 文子
韮崎高校2年
私は普段、かなり健康に過ごしている方だと思う。風邪をひくのも数年に一度くらいで、流行病にかかることもほとんどない。中学校の頃は3ヶ年皆勤を達成することもできた。それくらい健康だったので、高校でも皆勤を狙っていた。しかし、1年生の6月くらいに久しぶりに発熱をしてしまった。また、2年生の同時期にも発熱してしまった。何が原因だったのか。この発熱した時期を考えると新学期になってから、部活、学校生活ともに忙しい時だった。部活は吹奏楽部での定期演奏会があり、それが終わったと思えば、前期中間テストが行われるという非常に重要なイベントがある時期である。この時は限られた時しかなく、気持ちも焦ったり不安なことがあるけれど頑張らなくては、という状態だった。私はこれらの体験から、人間の体調には、精神状態が大きくつながりを持っているのではないかと考えた。
「病は気から」ということわざがある。私はこのことわざを信じている、という表現が正しいのかわからないけれど、この言葉のおかげで乗りこえられたこともあった。実際に私は高校1年生で発熱した時はテスト前だったこともあって、授業を休みたくなかった。病院で診察を受けて、先生に明日学校に登校しても良いか尋ねたとき、「良くないけれど、もし熱が平熱まで下がれば登校してもいいよ。」と言われ、母にも許可をもらった。私は絶対に熱を下げてやる!と決めてその日は薬を飲んで早く寝た。翌朝は薬の助けもあって熱を下げることができた。ただ、朝一番に計った体温は平熱より少し高く、その時点では登校できなかった。しかし、私にはまだチャンスがあった。母が仕事に出かける前までに平熱になれば行けるので、私は朝ごはんを食べて薬を飲んで、身支度をした。しばらくして熱を計ったら平熱まで下がり、遅刻をしてしまったけれど、一限目から授業に参加することができた。この出来事は、薬のおかげもあったけれど、自分自身の気持ちも強かったから、休まずに登校できたのだと思う。
体調と精神状態に関係があるのか気になったので、インターネットで調べてみた。調べてみて特に身近にある疲労との関わりが目についた。「疲労・倦怠感」という感覚は、私たちの体にとって、発熱・痛みとともに、体の恒常性に対するアラーム機構だといわれているらしい。「疲れやだるさを感じるなら、休みなさい。」という、体からのサインなのである。特に現在のようなストレスフルな社会で生きる私たちは、疲労や倦怠感を感じやすい環境にあるのではないだろうか。さらに、回復しない疲れは、病気のサインである可能性もあるようだ。どんな病気にも、「疲れた・だるい」という症状は出るが、6ヶ月以上にわたって疲れが続くか、疲れが繰り返されている状態は「慢性疲労」と呼ばれ、日本人のおよそ45パーセントがこのような慢性的な疲労を抱えているといわれている。一方、6ヶ月以上の強い倦怠感、強い疲労感がつづき、物事を判断する能力が低下する(認知機能障害)や睡眠障害などの症状を伴う「慢性疲労症候群」という病気がある。これは、「慢性疲労」とはまったく別の疾患で、最近の研究によると脳神経系の炎症が関連していることがわかってきている。
あるアンケート調査によると、疲労回復に効果がある方法として、入浴、コーヒーを飲むこと、アニマルセラピー、笑うこと、アロマセラピー、指圧などが挙げられている。リラックスすると心の疲れがとれる感じがするのは私も体験したことがある。また、軽い運動をしてぐっすり眠ること、背中や体の中心を温めることも、倦怠感の改善に効果があるようだ。調べてみると改善方法もたくさんあったので、疲労感や倦怠感を感じたときはリラックスしてみたり、休んでみたりしたいと思った。
今回の作文を書くにあたって調べてみた事柄だったけれど、疲れはあなどってはいけないことを知ることができた。私たちにはまだ感じることのない疲労感や倦怠感によって引き起こされる病気だと思うけれど、現代で働いている人たちには身近なのではないだろうか。いずれ私たちも社会に出れば今よりも忙しく、大変になることもあるだろう。それでも時にはしっかり休んだり、リラックスしたりすることを忘れないでいたいと思った。