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医師会からのお知らせ

第26回健康と医療作文コンクール

佳作

「医療の大切さ」
雨宮 未侑
勝沼中学校3年
私は現在、毎日の生活を元気で健康に過ごすことができています。このように健康な体で学校に通い、勉強や部活動に取り組むことができているのは五体満足な体に産んでくれた母、これまで私の体のことを考えながら支えてきてくれた家族のおかげだと思っています。
私には、小学6年生の弟と2年生の妹がいます。家族五人で楽しく過ごしていく中で、命の大切さについて考えさせられる機会がありました。それは、当時2歳半だった妹の先天性の病気です。その時、私は小学3年生、弟は保育園の年長でした。妹は何度も腹痛や嘔吐に悩まされ、転げ回るほど激しい腹痛に泣いているばかりの日々でした。そんな妹の姿を見ているのは姉として、とても辛かったです。検査入院などを繰り返した結果、先天性胆道拡張症と診断されました。この病気は言葉の通り先天的に肝臓と十二指腸との間にある胆管が拡張している病気で、女の子に多いと知りました。私は祖母と一緒に母から検査結果の電話がくるのを持っていましたが、まさか自分の妹が大きな手術を受けると思っていなかったので、思わず泣いてしまったことを今でも覚えています。その日から父と私、弟と祖父母との生活が始まりました。最初は家族五人での生活が当たり前だと思っていたため、不安で大変な日々が続きました。弟も幼かったので面倒を見てあげればいけなかったのですが、自分の事で精一杯だった私は見てあげる事ができませんでした。その時に、家事と私達の子育てを両立して頑張ってくれていた母の存在の大きさを深く感じることができました。4月には弟の入学式があり、母と妹は一度だけ家に戻ってきました。久しぶりに妹と母に会えたときはとても嬉しかったです。弟の入学式も無事に終わり、落ち着いた頃に妹はもう一度、入院し手術予定日となりました。約5時間に及ぶ大きな手術だったそうです。私と弟は学校でしたが、授業中も妹のことが心配でたまらなかったです。家に帰宅して手術が終了したと聞いたときはすごくホッとしました。本来なら10日から約2週間で退院できるはずだったのですが、腹痛が治まる気配はなく妹はお腹の痛みと闘う日々を過ごしていました。後に母から聞いた話ですが、手術でお腹を閉じる際に別の場所を傷つけてしまっていた為、約7時間に及ぶ再手術を受けたそうです。私はこの話を聞いた時、
「なぜ私の妹がこんな思いをしなければならないのか。」
と、とても悲しい気持ちになりました。私も父達と一緒にお見舞に行きたかったのですが、妹の安全の為、残念ながら会いに行けませんでした。その代わりに弟と一緒にビデオメッセージを撮ったり、折り紙を折ったりして、父に届けてもらっていました。妹の喜ぶ顔が見たかったからです。父が病院に行った時に撮影してきてくれた映像には私達が折った折り紙を抱えながら一生懸命メッセージをくれる妹の姿がありました。小さな体にたくさんの管が繋がれていてとても可哀想だと思いましたが、日に日に元気になっている妹の姿を見れた喜びの方が何よりも大きかったです。退院予定日の前日、父と弟と一緒に妹の入院している病院を訪れました。病院に入ると名前を呼びながら走ってきてくれる妹を見て、泣いてしまいました。久しぶりに家族五人でそろって笑いあうことができました。帰宅後、翌日に家に帰ってくる妹達の為に飾りつけをしました。翌日、妹が笑顔で帰って来た時は本当に嬉しかったです。
現在、妹は検査等で病院に通ってはいますが外で遊ぶことが大好きで、手術をしたとは思えないくらい毎日、元気に過ごしています。昔の医療では救うことができなかった命も現在は医学の進歩により、さらに多くの命を救うことができています。私は以前まで喘息を患っていましたが、小児科の先生や看護師さんなど多くの方々の力によって喘息から卒業することができました。人間は生きていく中で多くのケガや病気を乗り越えなければなりません。そんな時に、無くてはならない存在となるのが医療です。妹を元気にしてくれた、私の治療をしてくれた先生や看護師さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
これらの経験を通して、家族や友達、お医者さんや看護師さん。たくさんの命が支えてくれているから今の自分があると言うことを実感しました。これから先、自分自身が周りの人の支えとなれる様にこれからを過ごしていきたいと思います。