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医師会からのお知らせ

第25回健康と医療作文コンクール

優秀賞

「わたしの伯父さん」
佐藤 舞佑
帝京第三高校2年
私には、障がいをもった伯父がいる。その伯父は、生まれた時から足が変形していて、歩けたりはするけれども、そのせいで大人になった今でも、背は140センチくらいしかない。しかし、私がまだ物心つく前から遊んでもらったりしていたから、彼の障がいに対して偏見をもったことはないし、むしろそれがあたりまえのようになっていた。きっと、彼の明るくてひょうきんで、障がいの事なんて微塵も感じさせずに人を笑わせてくれるところも、私が彼に対して思っていることにつながっているのだろう。
私はこの前、彼の母親(私から見るとおばあちゃん)からこんなことを言われた。
「あの子はね、小さい頃から足のことを受け入れて色々頑張っていたんだよ。」
と。私はその言葉を聞いて、素直にすごいと思った。おばあちゃんによると、小学1年生の時から普通に運動したり生活していたそうだ。もちろん、障がい者が集まって学習しているところだが、それでも前向きに色々なことに取り組んでいる姿勢がなんかかっこよかった。大学に進んでからは、陸上を始めたそうで、車いすに乗って色々な障害物をクリアしていく競技だった。その時の写真を見て、今まで見てきた彼の違う一面を知れた気がした。ゴールするという一つの目標に向かってただひたすらに頑張っている姿は、今まで会ったり話したりしている中で見れなかったからだ。その写真の中の彼はとても輝いていた。大学を卒業後、彼はコンピュータを使ったデスクワークの道に進んだ。そこで彼は1人の女性に出会った。彼女もまた、足に障がいを抱えている人だった。伯父と彼女は、出会ってすぐに仲良くなり、その3年後結婚した。私は本当に嬉しくて、その知らせを聞いた時、すぐに伯父にメールしたのを今でも覚えている。
世の中、色々な人がいて、その中で出会う人なんてほんの一握りだ。私は、たくさんの奇跡が重なって重なって今ここに元気に生きている。たくさんのかけがえのない経験をし、たくさんの素敵な人に出会い、たくさんの思い出を心に刻んできた。それは、私の伯父も同じだ。今年の夏休みに伯父が夫婦で家に遊びに来た。その時、たわいもない話や私の進路の話をしていたら、彼がぽろっとこんな言葉をこぼした。
「俺、幸せだよ。」
と。本当に短い言葉だけれど、色々な思いが込められているなと思った。足に障がいを抱えて生まれ、障がいを抱えながらも多くの苦難を乗り越えて強くなり、その中で今のお嫁さんに出会い、たくさんの思い出を共有している。障がいがあったから今幸せと言ったらおかしいかもしれないけど、彼はこの人生で良かったと言っていた。障がいがなかったら健康だなんて定義は無いし、違うと思う。障がいがあったって無くたって、美味しいご飯を食べて、友達や大切な人と時間を共有し、今幸せだと心から言えたら、それが一番健康だという証拠だと思う。体の健康ももちろん大事だけど、「病は気から」ということわざもあるように、心を育てていくことを日々心がけたいと思った。私はこれからも健康的に強く生きたい。