HOME > 医師会からのお知らせ > ふれあい医療体験記 > 第23回ふれあい医療作文コンクール > 佳作
医師会からのお知らせ

第23回ふれあい医療作文コンクール

佳作
「経験を生かして」
流石 梨花
勝山中学校3年
私の夢は、養護教諭になることです。それは、私の辛い経験の中から生まれたものでした。
私は、幼い頃からいくつものアレルギーと闘ってきました。喘息、アトピー性皮膚炎、鼻炎と、毎日薬を飲まなければなりません。中でも一番辛いのが、食物アレルギーです。エビをはじめとし、キウイフルーツや梨などにも反応してしまいます。果物好きの私にとっては、悔しくて仕方ありません。
そんな中、昨年さらにショックな出来事がありました。突然、チーズにも反応が出るようになってしまったのです。私は和食より洋食のほうが好きで、特にピザやグラタンが大好物でした。すぐに病院で検査を受けたのですが、はっきりとは解らなかったので、学校ではいつも通り給食を食べていました。しかし、チーズやチーズの成分の入った食べ物を食べると、すぐに体中、喉や顔、頭皮にまでかゆみが出るようになってしまいました。そこで、母がアレルギーの専門医がいる病院へ私を連れて行ってくれました。特別な血液検査で、チーズアレルギーという事が判明しました。その結果により給食は「チーズ除去」という対応になりました。給食でグラタンが出る日は違うおかずを持って行き、ピザトーストの日は別のパンを持っていき食べていました。
そんな時、大変なことが起きてしまいました。チーズ入りのサラダを、間違えて食べてしまったのです。普段は食べられたサラダでしたが、その日はクリスマス風ということで、一人当たり、0.1グラムのチーズが入っていたと、後でわかりました。たった一口しか食べなかったのに……。いつものかゆみに襲われてしまい、それ以来、外食などで、サラダのチーズ抜きを注文しても、チーズが触れていたと思われるレタスや、チーズのパンをつかんだトングなどでも、反応が出るようになってしまいました。
その結果、給食は食べない方がいいということになり、私だけお弁当を持っていくことになりました。私の学校では、3階にあるホールで全校で給食を食べています。ですが、全校の皆が給食を食べている中で一人だけお弁当を食べるというのは抵抗がありました。だから、私は今、職員室で校長先生や電話当番の先生方と一緒に食べています。クラスの皆が話す「給食中の話」や「今日の献立」の話がとてもうらやましいです。皆がその話をしている時、私はその話の輪には入れません。だから、アレルギーさえなければ……と何度も思うことがありました。
3年生になり、楽しみにしていた修学旅行がありました。しかし、旅行中に反応が出てしまったら……という不安もありました。だから、旅行の前に病院に行きました。そこで、エピペンという注射が処方されました。エピペンというのは、アレルギーでショック反応が出てしまった時に使う注射薬です。養護教諭の先生は、クラスの皆に私のアレルギーのことやエピペンという物を持っているということなど、分かりやすく説明してくれました。担任の先生は、旅行中の食事の成分表の資料をたくさん集めてくださり、両親にも詳しく説明してくれました。おかげで、旅行当日の朝には、両親も安心して送り出してくれました。幸い、旅行中食物アレルギーは出ずに済んだのですが、初日から喘息発作が起きてしまい、初日と2日目の2日間、養護教諭の先生の部屋で寝る事になりました。先生は、私の症状が少しでも良くなるようにと、空気清浄機を借りてきてくれたり、優しく声をかけたりしてくれました。おかげで、3日目からは少しずつ症状もよくなり、楽しい思い出を作ることができました。
そんな先生の姿を見て、私は将来、養護教諭になりたいと思いました。喘息やアレルギーで悩み、つらい経験をした私だからこそ、生徒の立場になって相談にのることができると思うのです。だから私は、その経験を生かして、生徒達の力になれるような養護教諭の先生になりたいです。