HOME > 医師会からのお知らせ > ふれあい医療体験記 > 第21回ふれあい医療作文コンクール > 佳作
医師会からのお知らせ

第21回ふれあい医療作文コンクール

佳作
「障害者の方とのふれあいを体験して」
長田 健吾
駿台甲府小学校5年
ぼくは、今年の夏休みにお母さんの働いている病院に行きました。お母さんは、重症心身障害者の人たちが入院している病棟にいます。そこでは、毎年患者さん達のために、「夏まつり」という行事が行われています。
今年、お母さんはぼくがもう5年生になったので何か手伝える事があるかもしれないと思い、参加してみないかと言ってくれました。前に何度か病院には行った事がありますが、患者さんと直接ふれあうのは、はじめてでした。行事ということもあって、病院の中は大忙しでした。大学生のボランティアの人達の中に混ざってぼくも準備をさせてもらいました。
お母さんの働く病棟に入院している患者さんは、ほとんどの人が、自分では動く事が出来なかったり、話す事が出来ません。年令も1才から70才代の人までいて、こんなにたくさんの人が、体に障害を持っているのだとびっくりしました。
準備をする為、一人の患者さんのベットに行くと患者さんのお母さんが「生まれた時に赤ちゃんの首にへそのおがまきついていてね、やっと取れたけれどこうなってね、障害が残ったんです。この子は何も悪くないのよ。」と話をしてくれました。お母さんのお腹の中で、首にぐるぐるまいていたと思うと「えー、こわい」と心の中で思いました。そして「ぼくは、よかったね」と言われ、うんうんというふうに頭を動かす事しかできませんでした。
お祭りが始まる時間になり、患者さんの車イスを押して移動しました。いっしょに音楽を聞き、いっしょにゲームをして、患者さんの自分では動かせない手を支えて大きなサイコロを動かしたりしました。
ぼくは、患者さんに言葉をかけました。返事はありません。でもぼくは言葉をかけました。何だか患者さんが聞いている感じがしました。患者さん達は、何を見たいかなあ、何をしたいかなあと考えてもわからないし、むずかしかったです。ぼくは、おもちゃの場所では、患者さんの顔の前に見えるように持っていき、使って見せてあげました。
おどろいた事は、吹奏楽の音楽をきいている時に、なみだを流している人がいた事です。ぼくは「泣いているぅー」と思いました。そして、何も言わなくても、音楽を聞いて、きっと感動して泣けたのかなと、その事にぼくが感動しました。
いろんな患者さんの家族からも、「お手伝いをありがとう。」、「来てくれてありがとう。」と言ってもらえました。
ぼくは、お母さんが病院で働いているので出来た体験だと思いました。そして、また次も手伝いがしたいと思いました。お母さんからも「今日はありがとうね。」と言ってもらえてうれしかったです。
そして、お母さんはもう一つぼくに言ってくれました。それは、「今日、一生けん命に手伝ってくれた事はりっぱな事だけど、それは特別にえらい事ではないんだよ、わかるかな、健康な人が人の手助けをする事は、あたり前の事、そう思って欲しいよ」と。
ぼくは今、お医者さんになりたいと思っています。お医者さんになるために勉強は必要だけれど、こういった体験をたくさんして、人にふれあう事を大切にしたいと思いました。