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医師会からのお知らせ

第21回ふれあい医療作文コンクール

優秀賞
「病気と向きあって」
田中 愛梨
駿台甲府中学校3年
「いいけ。甘いものはあんまり食べたり飲んだりするんじゃないよ。」
これは私の祖母の口癖です。祖母は私や妹に対して、何度もいいます。
「私みたいになるからね。」
現在、祖母は糖尿病を患っています。私は小さい頃から祖母に疑問を抱いていました。「どうしておばあちゃんは、お腹に注射をするの。」
しかし、私が大きくなるにつれ、その疑問は晴れていきました。
まず糖尿病とは、インスリンというホルモンの作用が低下したため、体内に取り入れられた栄養素がうまく利用されずに、血液中のブドウ糖の値が大きくなっている状態であるという病気です。そして、私の祖母がお腹に注射していたのは、その不足しているインスリンという物質を補うためだと分かりました。
 祖母が糖尿病になったのは四十代の頃らしく、そこからずっと経過を見てきましたが、合併症により目が見えづらくなったり、脊柱管狭窄症になってしまったりと悪化してしまいました。
強く印象に残っているのは私が小学生のとき、祖母が神奈川県の病院に入院したときのことです。祖母は1ヶ月近く入院し、厳しい食事療法を行っていました。退院し帰ってくると、ふっくらとしていたはずの祖母が、魂が抜けてしまったようにゲッソリとしてしまっていてとても驚きました。それもそのはず、祖母は1ヶ月で15キロも体重を落としていたのですから。
その入院を境に祖母は、運動療法、食事療法、薬物療法の三つを取り入れ、夕方になると近所を散歩したり、ご飯の量も減らしたりと体重を増やさないようにキープをするようになり、あれほど好きだった甘いものも控えるようになりました。
私はたまに祖母の散歩に一緒に連れていってもらいます。昔は家事が終わると家で横たわることが多く、足を引きずるように歩いていた祖母が、最近では私の前を歩くほど軽快に歩くようになるほど良くなってとても嬉しく思います。入院生活は辛かったと思いますが、ここまで祖母を回復させてくれたお医者さんに感謝とそして憧れを感じます。
その憧れは次第に大きくなっていき、元気になった祖母を見て、私は医療に携わる職業につきたいと思い始めるようになりました。
今、中学校で開かれた「医系セミナー」に参加し、医療についての知識を少しでも得ようと頑張っています。講演で現場で働く医師の話を聞いたところ、やはり現場に必要なのはあらゆる分野についての深い知識と体力と忍耐力だと学びました。医療に携わるためには勉学に時間を費やして必死になって勉強する覚悟が必要ですが、私は自分の持つこの根性でやり抜けようと思います。
そして、夢が実現出来たときには、たくさんの薬の服用と厳しい食事制限を緩和できるような療法を生み出し、祖母のように治療を必要とする人を、私がこの手で救いたいと思います。