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医師会からのお知らせ

第21回ふれあい医療作文コンクール

佳作
「先生、ありがとう」
安富 美佳
日下部小学校4年
わたしは2さいの時に、「特発性血小板げん少しょう」という病気にかかりました。この病気は体に物がさわっただけで、青アザになってしまうという病気です。その時のことは、小さいながらにおぼえています。よくお父さんやお母さんとも話しています。今では、病気にかかったなんて思えないほど元気に生活できていますが、病気のときは、ベッドのまわりのさくを、毛布でくるくる巻きにして、ベッドのさくに体があたらないようにして、その中で、ねていたのをおぼえています。それから、点てきのことですが、そのときは「ちっくんのはりと、ひも」でつながっていたのも、おぼえています。ベッドからおりて、あそびたかったのにそれもできず、いっぱい泣いていたこともおぼえています。「ちっくんいたいよー。」と泣いていると、かんご師さんたちが、バンソーコウにアンパンマンやドラエもんの絵をかいてくれたり、点てきのくだに、リボンを巻いてくれたりして、がんばれと応えんしてくれました。一日に何回も体の様子を見に来てくれて、いっぱいさすってくれました。お母さんも、わたしのことが心配で、お仕事をお休みして、ずっと一緒にいてくれたと教えてくれました。おばあちゃんは、早く元気になっていっぱいあそべるようにと、おもちゃの絵がいっぱいかいてあるパジャマを買ってくれたそうです。毎日お見まいに来てくれて、「ちっくんのはりと、ひも」でつながっていたわたしに、絵本を読んでくれたりもしたそうです。みんなやさしくしてくれました。でも、白衣を着たお医者さんを見ると、こわくてにげまわっていたそうです。点てきの針を刺したのが、お医者さんだったからだそうです。1か月くらいで血小板も、もとどおりになり、ベッドから下りられるようになると、スマイルくんの絵のスリッパで、病院のろう下をうれしくてちょろちょろ歩きまわったのもおぼえています。かんご師さんたちに、子供部屋でつみ木をしたり、おままごとをしたりして、あそんでもらったりもしました。でも、お医者さんを見ると、かんご師さんの後ろにかくれたりして、退院するまでお医者さんから、にげまわっていたそうです。
その時から最近までは、点てきや注しゃがこわくて、針を見ると自然になみだが出て、お母さんの後ろにかくれて、にげまわっていました。病院に行ってもお医者さんを見ると小さい時のことが思い出されて、こわくなってしまうのです。
学校帰りにグレーチングですべってころんでしまい、前歯を折ってしまったときのことです。あわてて歯医者さんに行き、みてもらったとき、「いたかったね。」「強かったね。」「がんばったね。」と、いっぱいゆう気付けてくれました。なみだはいっぱい出ましたが、痛いこともあったけれど、なんだかホットして、安心することができました。このことがあって大きらいだった白衣のお医者さんも、少しこわくなくなりました。小さいときの出来事は、とっても印しょう強く残るものですが、やさしくしてくれたかんご師さんや、ゆう気付けてくれた歯医者さんに出合えたことで、病気に立ち向かう力をいっぱいもらっていたんだと思いました。
「ちっくんのはりと、ひも」でつないだお医者さんも、きっと点てきの針を刺すとき、「がんばれ」と応えんしてくれていたんだと思えるようになりました。今ではとっても元気で、病院に行くことも少なくなりました。わたしを病気からすくってくれた先生、ありがとうございました。お医者さんぎらいをすくってくれた先生、ありがとうございました。元気で、みんなととび回ってあそべることがこんなにうれしいことだと、あらためてうれしく思っています。わたしにやさしくしてくれたかんご師さんや先生たちが、多くの人たちにも、ゆう気をあたえてくれていると思うと、とってもうれしくなります。これからも病気の人たちの心が元気になるように、がんばってほしいと思っています。